無料の命式ツールで日柱に「戊戌」と出た。あるいはSNSで「戊戌は異常干支」という投稿を見かけた。そんなきっかけでこの字を調べる人が少なくありません。
この記事では、暦の規則として確かめられることと、古典や流派の中で語られてきたことを分けて整理します。編集部が暦の規則と語られ方を突き合わせて整理したもので、当たる・当たらないを判定するものではありません。


【一言でいうと】戊戌は六十干支の35番目で「つちのえいぬ」と読む、土が重なる組み合わせ

戊戌は、十干の「戊」と十二支の「戌」を組み合わせた干支です。六十干支の並びでは35番目にあたります。
読み方は訓読みで「つちのえいぬ」、音読みで「ぼじゅつ」。戊も戌も、五行では土に配されるという点が、この干支の特徴としてよく挙げられます。
ただし、年・月・日のどの柱に出たかで話の対象がまったく変わります。年柱の戊戌と日柱の戊戌は、指しているものが別だということを先に押さえておいてください。
戊戌の読み方と表記|「つちのえいぬ」と「ぼじゅつ」

訓読みの「つちのえ」は、五行の土に兄弟の「兄」を当てた言い方です。土の兄で「つちのえ」、土の弟で「つちのと」(己)となります。
戊・戌・戍の見分け方
この字はよく似た漢字が並んでいて、変換のときに迷いやすいところです。戊は横棒が突き抜けず、戌は中に短い横棒が入り、戍は中が点になります。
戊(つちのえ)は十干、戌(いぬ)は十二支、戍(じゅ)は「まもる」という別の字です。命式を書き写すときは、この3つを取り違えないよう注意してください。
音読みが使われる場面
「ぼじゅつ」という音読みは、歴史の出来事の名前として使われることがほとんどです。年に干支の名を冠した呼び方をするときに、音読みが選ばれます。
四柱推命の解説では訓読みの「つちのえいぬ」が使われるのが一般的です。同じ字でも、場面によって読み方が分かれると考えてください。
戊戌が巡ってくる年|1898・1958・2018・2078年

十干は10種類、十二支は12種類あり、組み合わせは60通りで一巡します。そのため戊戌の年は60年おきに巡ってきます。
近いところでは1898年、1958年、2018年が戊戌の年にあたり、次は2078年です。直近の戊戌の年は2018年でした。
西暦から干支を割り出す手順そのものは別の記事で扱っています。自分の生まれ年の干支を確かめたい場合は、そちらを参照してください。
「戊戌の変法」「戊戌の政変」が戊戌と呼ばれる理由

歴史の教科書に出てくる「戊戌の変法」「戊戌の政変」は、どちらも1898年の出来事です。1898年が戊戌の年にあたるため、その年の名として干支が冠されています。
つまり戊戌という語そのものに歴史的な意味があるわけではなく、年を指す符号として使われているだけです。占いの話とは直接つながりません。
日本にも同じ命名の例がある
日本では、高野長英が1838年(天保9年)に著した『戊戌夢物語』が知られています。この年もまた戊戌にあたり、書名の「戊戌」は著した年の干支に由来します。
干支で年を呼ぶ習慣は東アジアで広く使われてきました。壬申の乱や辛亥革命も、同じ命名のしかたです。
年柱・月柱・日柱で戊戌が出たときの違い

命式は年・月・日(流派によっては時)の柱に分かれ、それぞれ別の情報を持ちます。戊戌が出た柱によって、話の対象が変わります。
| 柱 | 何によって決まるか | 戊戌になる頻度 |
|---|---|---|
| 年柱 | 生まれた年 | 60年に1度(1898・1958・2018・2078年) |
| 月柱 | 生まれた年と月の組み合わせ | 5年に1度、特定の月に巡る |
| 日柱 | 生まれた日 | 60日に1度 |
年柱に出た場合
年柱が戊戌になるのは、戊戌の年に生まれた人だけです。1958年か2018年生まれでなければ、年柱に戊戌は出ません。
日柱に出た場合
日柱は生まれた日で決まるため、60日に1度の周期で回ってきます。年柱よりずっと多くの人が該当することになります。
四柱推命の解説で「戊戌の人」と書かれている場合、多くは日柱を指しています。読むときは、どの柱の話なのかを確かめてください。
戌年生まれとの違い
戌年生まれと戊戌は同じではありません。戌と組む十干は甲・丙・戊・庚・壬の5種類あるので、戌年生まれのうち年柱が戊戌になるのは5分の1にあたる年だけです。
戌年生まれの傾向として語られる内容は、十二支の戌についての話です。戊戌の話とは切り分けて読んでください。
戊戌の五行と、暦の規則として確かめられること

戊は十干の5番目で、五行では土に配され、陰陽では陽とされます。戌は十二支の11番目で、こちらも五行では土に配されます。
戊と戌が両方とも土に配される意味として語られてきたこと
同じ五行が重なる組み合わせは、その性質が強く出ると説明されるのが一般的です。土は蓄える・支えるといった働きに結び付けられ、安定や粘り強さとして語られてきました。
一方で、動きにくさや切り替えの遅さとして説明されることもあります。同じ配当から正反対の解釈が出るのは、この分野ではよくあることです。
出典が確認できた範囲
この記事では、出典が確認できたものだけを載せています。戊が土の陽、戌が土に配されるという配当は、複数の解説で一致しています。
一方、蔵干・納音・十二運については、流派によって配当や呼び名が分かれます。確認できた範囲を超えるため、本記事では扱いません。
戊戌の人はどう語られてきたか

ここからは、四柱推命の解説で戊戌についてどう説明されてきたかを見ていきます。いずれも「そう語られてきた」という内容であり、当たる・当たらないの話ではありません。
基本の傾向として語られること
土が重なることから、腰を据えて取り組む姿勢や、一度決めたことを守り通す傾向として説明されることが多く見られます。周囲から頼りにされやすい、という書かれ方もします。
同時に、いったん決めた方針を変えにくいという説明もセットで語られます。長所と短所は同じ性質の裏表として扱われるのが通例です。
女性について語られること
女性については、面倒見のよさや、自分の考えをはっきり持っている点が挙げられる説明が見られます。周囲に合わせるより、自分の基準で動くという書かれ方です。
ただしこれは干支の解説の慣例的な語り口であって、個人の性格を決めるものではありません。
男性について語られること
男性については、責任を引き受ける姿勢や、実務を淡々と進める点が挙げられます。感情を表に出しにくい、という説明が添えられることもあります。
仕事の場面で語られること
継続が要る仕事や、土台を作る役割に向くという説明がよく見られます。具体的な職種を断定する解説もありますが、根拠が示されていないものが多いため、ここでは職種名を挙げません。
相性の組み合わせについては、十二支どうしの関係として別の記事にまとめています。
「異常干支」「魁罡」という言われ方をどう受け取るか

戊戌を調べると、ほぼ必ず「異常干支」「魁罡」という語に行き当たります。どちらも、資料によって含める干支や分類が変わる呼び名です。
魁罡に戊戌を含める説と含めない説がある
魁罡は、特定の日柱をまとめて呼ぶ言い方です。戊戌・庚辰・庚戌・壬辰の4つを挙げる説明がある一方、庚辰・庚戌・壬辰の3つとし、戊戌を含めない説明も見られます。
さらに、戊辰・壬戌まで加えて6つとする説明もあります。つまり、戊戌が魁罡に当たるかどうかは、どの説明を読んだかで変わります。
異常干支は分類と呼称が一定しない
異常干支のほうは、13種を挙げる説明が多く見られ、総数についてはおおむね共通しています。ただし、どれを通常の異常干支とし、どれを暗合の異常干支とするかは資料によって入れ替わります。
実際に、戊戌と戊子の位置づけが逆になっている解説が並んで存在します。呼び名も「異常干支」「特別な干支」などで一定していません。
呼び名で人を評価しない
「異常干支だから才能がある」も「異常干支だから苦労する」も、どちらも書かないのが当メディアの立場です。呼び名は分類の道具であって、人の評価ではありません。
命式は生まれた日時を暦に置き換えたものです。そこから読み取れるのは傾向として語られてきた説明であって、その人の価値ではありません。
医療・法律・お金に関わる重大な判断は、占いではなく各分野の専門家にご相談ください。
戊戌についてよくある質問
※本記事の戊戌の解釈は伝統的な解釈・心理的な観点に基づく一般的な傾向であり、科学的に効果や的中を保証するものではありません。参考の一つとしてお読みください。
まとめ|戊戌は暦の組み合わせであって、人を決めるラベルではない
戊戌は六十干支の35番目で、読み方は「つちのえいぬ」または「ぼじゅつ」。戊も戌も五行では土に配される組み合わせです。
戊戌の年は60年おきに巡り、直近は2018年、次は2078年です。歴史の出来事に付いた「戊戌」は、その年を指す符号にすぎません。
「異常干支」「魁罡」という呼び名は、含める干支や分類が資料によって分かれます。呼び名から人を評価せず、暦の規則として確かめられるところから読んでいくのが落ち着いた向き合い方です。