命式を出したら日柱に「癸丑」と表示された。読み方から調べ始めたところ、「羊刃」という見慣れない語が出てきて手が止まった。
あるいは、異常干支に含まれるのかどうかが気になって検索した。そういう入り方をする方が多い干支です。
先に結論を書きます。癸丑を異常干支に含めていない解説が複数あり、この点では説明が一致しています。
以下では、癸丑について書かれていることを「暦を数えれば出る事柄」「古典から書き継がれてきた人物像」「羊刃のように流派で割れる分類」の3つに仕分けして並べます。編集部が複数の解説を突き合わせ、どこで説明が食い違うのかまで示します。


一言でいうと、癸丑は六十干支の50番目にあたる組み合わせ

癸丑は「みずのとうし」と読みます。十干を締めくくる「癸(みずのと)」の下に、冬の終わりを受け持つ「丑(うし)」が置かれた形で、六十干支では50番目にあたります。十干が一巡し終える位置にある干支だと覚えておくと、順番を数え直すときの目印になります。
癸丑という組み合わせ自体は、年柱・月柱・日柱・時柱のどこにでも現れます。ただし「癸丑の人は〜」と書き出されている解説は、ほぼ例外なく日柱の癸丑を指しています。
羊刃や異常干支をめぐる文章が読みにくいのは、この3つが同じ調子で書き並べられているためです。いま読んでいる一文がどれなのかを先に見分ければ、強い言葉に出会っても受け取り方を選べます。
まず、癸丑という干支の器にあたる部分から押さえます。
癸丑の暦の規則|該当する年・空亡・丑月の位置

該当する年・納音・空亡・丑月の位置は、暦を数えれば出てくる項目です。読み手の解釈が入る余地がないため、どの解説を見ても同じ答えになります。
| 項目 | 内容 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 並び順 | 六十干支の50番目 | 甲子から順に数える |
| 読み方 | みずのとうし(癸丑) | 十干「癸」と十二支「丑」を続けて読む |
| 該当する年 | 1913年・1973年・2033年(60年ごと) | 直近は1973年。次は2033年 |
| 納音 | 桑柘木(そうたくぼく)。壬子と一組 | 六十干支を2つずつ区切った25組目 |
| 空亡 | 寅・卯 | 癸丑が属するのは甲辰から始まる十日間の組 |
| 丑月の位置 | 小寒から立春の前日まで(1月ごろ) | 暦の上の冬の終わりにあたる |
年の干支は立春で切り替わる考え方が広く使われています。1月生まれや2月上旬生まれは前の年の干支になることがありますので、万年暦で該当日を確かめてください。
癸丑の空亡が寅・卯になるのは、癸丑が甲辰から始まる十日間の最後に位置しているためです。十干は10・十二支は12あるので、十日でひと区切りにすると十二支が必ず2つ余ります。甲辰から癸丑までを並べると、残るのが寅と卯です。
丑月は月の干支のことで、生まれた年によってどの十干が付くかが変わります。癸丑月にあたるのは、その年の丑月に癸が組み合わさった場合だけです。
そもそも六十干支がどう組み立てられていて、自分の生まれ年がどれに当たるのかは、当メディアの別記事にまとめてあります。癸丑が50番目に来る並びを数え直したいときは、そちらを参照してください。
癸丑の納音「桑柘木」と、癸と丑の組み合わせ

癸丑を調べると、必ず「桑柘木」という名前が出てきます。これは納音(なっちん)と呼ばれる分類で、六十干支を2つずつ組にして名前を付けたものです。癸丑は壬子と一組になり、この組の名前が桑柘木です。
なぜ2つで一組なのか、名前が何を指すのかを順に見ていきます。
納音は2つで一組になる
納音は六十干支を先頭から2つずつ区切り、合計30の組に分けたものです。壬子と癸丑は49番目と50番目なので、25組目として同じ名前を共有します。
そのため、癸丑の納音を調べると必ず壬子も一緒に出てきます。片方だけの分類ではないという点が、他の項目と違うところです。
桑柘木は木の名前
桑柘木の「桑」は蚕を育てるために葉を採る木、「柘」も同じく葉が使われてきた木を指す字です。他の納音と同じく、音の分類に付けられた名前であって、性質を断定するものではありません。
名前の由来については諸説あり、確定した説明は見当たりません。人の役に立つために葉を採られる木、という読み方が添えられることがありますが、これは後から加えられた解釈として扱うのが安全です。
癸は水の陰、丑は冬の終わりの土
癸は十干の最後で、五行では水の陰にあたります。雨や露のような、細かく行き渡る水にたとえられてきました。
丑は十二支の2番目で、五行では土。暦の上では冬の終わりに置かれ、次の春を待つ時期に対応します。木の名前を持つ納音の下に、水と土が並んでいる構図です。
五行では、丑の土が癸の水を受け止める側に置かれます。癸は雨や露のように細かく行き渡る水とされるため、受け止められた先であふれ出すのではなく、内側にとどまると説明されてきました。癸丑の解説に「動いているのに外から見えにくい」という言い回しが繰り返し出てくるのは、この上下の並びが根拠です。
ただし、納音の名前と十干十二支の五行は別々の分類です。桑柘木が木だからといって、癸丑を木の性質として読むわけではありません。
癸丑は異常干支?羊刃と呼ばれる場合があるのはなぜか

癸丑を検索すると、異常干支と羊刃という2つの語が並びます。まず異常干支については、13種類を挙げる一覧に癸丑は含まれていない、という説明が複数の解説で一致しています。
そのうえで、代わりに出てくるのが羊刃です。ここは流派で扱いが分かれます。
羊刃を十干すべてに当てる立場
日本で広く紹介されている一覧では、十干それぞれに対応する十二支が決められており、癸には丑が当てられています。この立場に立つと、癸丑は日柱そのものが羊刃にあたることになります。
羊刃は力の強さを表す語として説明され、集中力や踏ん張りの効き方に結びつけて語られてきました。刃という字が使われているため強い印象を受けますが、災いを予告する分類ではありません。
羊刃を陽の十干だけに立てる立場
一方、羊刃は甲・丙・戊・庚・壬という陽の十干にだけ立てるもので、癸のような陰の十干には当てはめない、という立場もあります。この考え方では、癸丑は羊刃を持つ干支には入りません。
癸丑の羊刃を「ある」と書くページと、羊刃の項目そのものを立てていないページが並ぶのは、この2つの立場が同時に流通しているからです。先に確かめるべきは正誤ではなく、そのページが十干すべてに羊刃を立てているかどうかになります。
気の強さや健康を、この語だけで決めない
羊刃があるから気が強い、体を壊しやすい、といった書き方を見かけることがありますが、日柱ひとつで決まる話ではありません。命式は他の柱との組み合わせで読むものです。
羊刃という語を根拠に、いま抱えている不調や金銭の判断を決めてしまわないでください。医療・法律・お金に関わる重大な判断は、占いではなく各分野の専門家にご相談ください。
癸丑の性格として語られてきた傾向|女性・男性

ここから先は、数え方ではなく読み手の解釈が入ってくる話になります。以下に並べるのは癸丑について書き継がれてきた人物像で、そのとおりでない人も多くいます。日柱ひとつで人となりが決まるわけではない、という前提で読んでください。
癸丑は女性・男性で書き分けている解説が多いため、その区分に沿って並べます。
癸丑の女性について語られてきたこと
物腰が穏やかで、周囲と衝突しない立ち回りをすると語られてきました。その一方で、一度決めたことは動かしにくく、内側では譲っていない、という説明が添えられます。
丑が「待つ時期」にあたることから、結果が出るまで時間をかける進み方が向いている、と紹介されることもあります。
言いたいことを溜め込みやすい、という指摘が添えられることもあります。伝える相手と場面を決めておくとよい、という助言とセットで語られる干支です。
癸丑の男性について語られてきたこと
目立つ動き方はしないものの、任されたことは最後まで引き受けると語られてきました。手数を惜しまない代わりに、その働きが周囲に見えにくいという指摘も並びます。
また、水の陰である癸が細やかさを、土である丑が粘りを表すとされ、この2つの合わさり方で説明されることが多い干支です。
女性・男性のどちらの項目も、日柱が癸丑である場合を前提にした説明です。年柱や月柱に癸丑が出ている方が読むと話が合わなくなりますので、自分のどの柱に癸丑があるのかを確かめてから使ってください。
相性については、十二支どうしの関係をまとめた別記事で扱っています。
癸丑が自分の命式にあるかを調べる手順

癸丑という語に行き当たっても、それが自分のどの柱なのかが分からないままだと読みようがありません。まず、どの柱に出ているかを確かめてください。
見る場所は3つです。
1つ目は日柱です。生まれた日の干支で、性格や配偶者との関わりを読む場所とされています。性格の解説として紹介されているものは、ほぼこの日柱についてのものです。
2つ目は年柱です。生まれた年の干支で、育った環境や先祖との関わりを読む場所とされます。立春をまたぐ生まれの方は、暦の上の年が実際の生まれ年と違うことがあります。
3つ目は月柱です。生まれた月の干支で、癸丑月にあたるのは小寒から立春の前日までの期間です。節入りの日付は年によって前後します。
この3つのほかに時柱もありますが、ここを出すには生まれた時刻が要ります。癸丑の時柱が立つのは丑の刻(おおむね午前1時から3時ごろとされる区分)に生まれた場合だけで、時刻があいまいなまま数えると別の干支になってしまいます。母子手帳などで時刻を確かめられる場合にだけ使ってください。
柱が分かったら、そのうえで暦の規則・語られてきたこと・流派で分かれることのどれを読んでいるのかを意識すると、情報の取捨がしやすくなります。
命式の出し方と無料ツールの使い方は、当メディアの別記事にまとめています。
癸丑についてよくある質問
※本記事の干支の解釈は伝統的な解釈・心理的な観点に基づく一般的な傾向であり、科学的に効果や的中を保証するものではありません。参考の一つとしてお読みください。
まとめ|納音は桑柘木、空亡は寅と卯。異常干支には含まれない
癸丑は六十干支の50番目で、納音は壬子と一組の桑柘木、空亡は寅と卯です。該当する年は1913年・1973年・2033年と60年ごとに巡ります。
異常干支の一覧に癸丑を挙げている解説は見当たりません。この点は説明が一致しています。不安から検索した方は、まずここを受け取ってください。
羊刃については流派で分かれます。十干すべてに当てる立場では癸に丑が対応し、陽の十干だけに立てる立場では当てはまりません。刃という字から受ける印象だけで判断しないでください。
癸丑の記事を読むときは、いま目で追っている一文が「数えれば出る話」「書き継がれてきた話」「流派で割れる話」のどれなのかを、その都度置き直してください。それだけで、刃という字面に引きずられずに済みます。
癸丑という語だけでは、自分の命式のどこが気になっているのかを絞りきれないこともあります。羊刃や納音のどこで引っかかったのかを一つ挙げてから、四柱推命を扱う鑑定士に聞き直すという方法もあります。