命式を出したら日柱に「乙巳」と出てきた、あるいは暦で「乙巳の日」という表記を見かけた、という形でこの言葉にたどり着く人が多いと思います。二文字とも見慣れない読みなので、まず読み方から確かめたくなります。
この記事では、乙巳の読み方と、乙と巳がそれぞれ何を表すとされるのか、そして自分に関わる年・月・日がいつ巡ってくるのかを整理します。なお、645年の乙巳の変(大化の改新)についてお調べの場合は、歴史上の出来事を指す言葉で、本記事で扱う暦の乙巳とは別のものです。


【一言でいうと】乙巳(きのとみ)とは

乙巳は「きのとみ」と読みます。音読みで「いっし」と読まれることもあり、歴史の「乙巳の変」はこちらの読みです。
六十干支の42番目にあたる組み合わせで、十干の「乙(きのと)」と十二支の「巳(み)」が組んだものです。乙は五行でいう木の陰、巳は火の陰にあたります。
木と火という組み合わせなので、打ち消し合うのではなく助け合う関係として説明されることが多い干支です。ここから、外に向かって伸びていく性質が語られてきました。
乙巳はどんな組み合わせか|乙と巳が表すもの

乙巳の性質を読むときは、まず二文字を分けて見ます。それぞれが何にたとえられてきたかを押さえると、組み合わせたときの説明もたどりやすくなります。
乙(きのと)は木の陰
十干の乙は、五行の木のうち陰にあたります。同じ木でも、甲(きのえ)が大木にたとえられるのに対し、乙は草花やつるのような、しなやかに伸びるものにたとえられます。
まっすぐ立つ強さではなく、環境に合わせて形を変えながら伸びていく性質として語られます。折れにくさを長所として挙げる解説が多く見られます。
巳(み)は火の陰
十二支の巳は、五行の火のうち陰にあたります。燃えさかる炎ではなく、灯火のように内側で絶えず燃えているものにたとえられます。
動物としてはへびが当てられますが、性質の説明で使われるのは主に五行のほうです。表に出る勢いというより、内側に持ち続ける熱として語られます。
二文字がそろうと何を表すとされるか
しなやかに伸びる木と、内で燃え続ける火の組み合わせです。ここから、穏やかに見えて内側に強い意志を持つ、といった説明がされることが多くなります。
ただし、これらはあくまで伝統的な解釈にもとづく語られ方です。二文字だけで人となりが決まるという性質のものではありません。
乙(陰の木)と巳(陰の火)が助け合う関係とは

乙巳の性質が「勢いがある」と語られる背景には、五行の考え方があります。理屈の部分をたどっておくと、解説ごとの言い回しの違いに振り回されずに済みます。
相生とはどういう関係か
五行には、互いを生み育てる相生と、打ち消し合う相剋という2つの関係があります。木は燃えて火を生むため、木と火は相生の関係にあたります。
乙巳は、この木生火の関係がそのまま一つの干支に収まった組み合わせです。助け合う側の並びなので、勢いを表すものとして語られてきました。
乙巳が「勢いがある」と語られる理由
木が火を支え、火が上へ伸びていく形にたとえられます。この動きから、目標に向かって進む力や、周囲を巻き込んでいく明るさが挙げられることが多くなります。
一方で、勢いが強く出るぶん、休むタイミングを見失いやすいという言い方もされます。長所と短所は同じ性質の裏表として語られるのが通例です。
理屈で説明できる範囲と、そうでない範囲
五行の関係から説明できるのは「なぜそう語られてきたか」という筋道までです。その人に実際に何が起きるかを、この関係から言い当てられるわけではありません。
解説によって性質の描き方が違うのも、この筋道から先の解釈が分かれるためです。どれか一つを正解として受け取る必要はありません。
納音「覆燈火」とは何を指すか

乙巳を調べていると「覆燈火(ふくとうか)」という言葉が出てくることがあります。これは納音(なっちん)という別の分類の呼び名です。
納音は六十干支を2つずつ組にした分類
納音は、六十干支を2つずつ組にして30種類に分け、それぞれに名前を付けたものです。暦や占いの一部で使われてきた分類で、六十干支そのものとは別の体系にあたります。
甲辰・乙巳の組が覆燈火と呼ばれる
乙巳は、一つ前の甲辰と組になって「覆燈火」と呼ばれます。覆いをかけた灯火という字のとおり、外に大きく広がる火ではなく、内側で灯り続ける火にたとえられる名前です。
鑑定に用いない流派もある
納音は、暦や一部の流派で使われる分類です。四柱推命の解説でも納音に触れないものは多く、鑑定に用いない流派もあります。
そのため、覆燈火という言葉を見つけたからといって、必ず読み解きに使わなければならないわけではありません。吉凶を決める分類でもありません。
古典や通説で乙巳の性質はどう語られるか

ここからは、複数の解説で共通して挙げられている語られ方を整理します。当たり外れの話ではなく、そう語られてきた内容として読んでください。
よく語られる長所
行動に移すまでが早いこと、人当たりがやわらかいこと、状況に合わせて方針を変えられることが挙げられます。しなやかさと勢いの両方を持つ、という説明がよく見られます。
短所として語られる面
予定を詰め込みすぎること、興味が移りやすいこと、内心を見せないまま抱え込むことが挙げられます。長所として語られる性質の裏側にあたる部分です。
女性について語られること・男性について語られること
女性については、周囲との距離の取り方が上手で、必要なときにははっきり意思を示すと語られます。男性については、表向きの穏やかさと内側の負けん気の差が挙げられることが多くなります。
ただし、性別で読み分ける解説は流派によって扱いが異なります。どちらの記述にも、自分には当てはまらない部分が出てきて当然です。
仕事や恋愛の傾向として語られること
仕事では、人と関わる場面や、状況が変わりやすい場面に向くと語られます。恋愛では、距離を詰めるのが早い一方で、決めるまでに時間をかけるという言い方をされることがあります。
性質は日柱の2文字だけで決まるものではない
四柱推命では、年柱・月柱・日柱・時柱の4つを組み合わせて読みます。日柱が乙巳だからといって、そこに書かれた性質がそのまま当てはまるとは限りません。
乙巳の年・月・日はいつか

乙巳は、年にも月にも日にも巡ってきます。どれを指しているのかで意味の取り方が変わるため、先に整理しておきます。
乙巳の年は60年ごとに巡る
六十干支は60年で一巡するため、乙巳の年も60年ごとに巡ります。直近は2025年で、次は2085年です。さかのぼると1965年、1905年、1845年も乙巳の年にあたります。
判定は、西暦を60で割った余りが45になる年、と覚えると確かめやすくなります。歴史上の645年も同じ計算に合います。
乙巳の月はいつごろか
月の干支は、年の干支と組み合わせて決まります。そのため毎年同じ月が乙巳になるわけではなく、暦で確かめる必要があります。
乙巳の日は60日ごとに巡る
日の干支も60日で一巡します。年に6回ほど乙巳の日が巡ってくる計算になり、暦やカレンダーで確認できます。
年・月・日のどれを指しているかで意味の取り方が変わる
年柱としての乙巳は生まれた年の傾向、日柱としての乙巳は本人の性質を読むときに使われるのが一般的です。同じ二文字でも、どの柱の話かで読み方が変わります。
自分の日柱が乙巳かどうかの調べ方

年の干支は西暦から計算できますが、日柱は生年月日から表を引く必要があります。手順そのものは別の記事で扱っているため、ここでは入口だけ整理します。
生年月日から日柱を出す
日柱とは、生まれた日そのものに割り当てられている干支のことです。無料の命式ツールや暦の表で調べられます。
出生時間が分からない場合の扱い
時柱を出すには出生時間が必要ですが、日柱を出すだけなら生年月日が分かれば足ります。時間が分からなくても、日柱までは確かめられます。
結果が資料によってずれることがある理由
年の切り替わりを立春とするか元日とするかなど、暦の扱いが流派によって異なるためです。1月から2月初めの生まれの人は、資料によって年柱が変わることがあります。
乙巳と他の干支の相性はどう語られるか

相性の説明でも、複数の資料に共通して名前の出てくる干支があります。以下も、木と火の並びからそう語り継がれてきた内容として読んでください。
相性が良いとされるのはどんな関係の干支か
五行で木や火を支える側にある干支は、助け合う関係として挙げられることが多くなります。ただし、挙げられる干支は解説によって違います。
合わないとされるのはどんな関係の干支か
勢いの方向がぶつかる組み合わせや、五行で打ち消し合う関係にある干支が挙げられます。合わないと書かれていても、その相手と付き合えないという意味ではありません。
同じ組み合わせでも媒体によって評価が割れることがある
実際、乙巳と丁亥の相性は、資料によって評価が分かれています。どちらか一方を正しいものとして受け取るより、そういう幅があると理解しておくほうが役に立ちます。
そのうえで、相性を人柄の判断材料にしないでください。相性の記述は関わり方のヒントであって、付き合う相手を選別するための道具ではありません。
乙巳についてよくある質問
気になることを一つずつ確かめたいときは、鑑定士に相談するという選択肢もあります。命式の読み方は幅があるため、自分の場合はどう読むのかを聞いてみると整理しやすくなります。
※本記事の乙巳の解釈は伝統的な解釈・心理的な観点に基づく一般的な傾向であり、科学的に効果や的中を保証するものではありません。参考の一つとしてお読みください。
まとめ|乙巳は「乙(陰の木)と巳(陰の火)」が組んだ42番目の干支
乙巳は「きのとみ」と読み、六十干支の42番目にあたります。乙は木の陰、巳は火の陰で、木が火を生む相生の組み合わせです。
年は60年ごとに巡り、直近は2025年、次は2085年です。日は60日ごとに巡るため、自分の日柱が乙巳かどうかは生年月日から確かめられます。